ここまでこのブログでは老猫氏との出会いから少しずつ過去を振り返ってきていた。
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しかしせっかくお題に#ペットを飼うこと というのがあったので、「老猫を飼うということ」について思うことを書いてみたい。
「お迎えするなら子猫からがいい」って本当?
私の中には、老猫氏が家に来るまで「飼うなら子猫からがいい」という強固な思い込みがあった。
世の中の通説は実際にそうで、子猫のころの方が環境の変化に適応しやすい。性格もまだ流動的なので先住猫ともよい関係を築きやすい。それに、子猫は無条件に、誰が見ても可愛い。ころころとそこらを転げ回り、何にでも興味を示す。かと思えば電池が切れたように眠る。
動物も人間も、小さい頃が特別に可愛いというのは共通なんだと思う。それに、子猫のうちから一緒に暮らしていければ、20年にもわたる猫生を、長く一緒に過ごすことができる。
しかし、その思い込みは、老猫氏を保護してから変わった。
老猫だからこそ感じる「意志」
老猫は老猫らしい可愛さがある。自分自身というものがしっかり確立されているから、個体ごとにはっきりしっかり、個性がある。
老猫氏は、愛想の良さで餌をもらって生き抜いてきたタイプなのだと思う。警戒はするが、どんな人にもにゃーにゃーと擦り寄って甘える。距離感が近い。すぐに膝に乗る。でも、確固たる自分のペースがあるので、十分ほど膝で過ごすと「あ、もう大丈夫です」とばかりに自分の寝床に戻ってゆく。

反面、猫には厳しい。まだ「出会い」部分しかブログでは紹介していないが、その後諸事情で一時期たくさんの猫と過ごしたり正式にうちの子になって先住猫に会ったりした時は、他の猫を無視するか、近づきすぎるとかなり重めのパンチを繰り出していた。「小童が!!」という声すら聞こえてきそうな激しめの対応をする。
そんなふうに、好きなもの、嫌いなものがきっぱりとあって、鳴き声や仕草から「こうしたい」というのが伝わってくる。
実家にいた頃も老猫と暮らしたことはあったけれど、その子は子猫のころから一緒に育って老猫になっていったから、特別に「老猫だから可愛い」と感じたことはなかった。ただ、その子も今思い返してみれば、年齢が上がるごとに特定の性格の傾向が強く出るようになっていった気がする。
人間では嫌がられがちな年齢特有の頑固さというやつなのかもしれないが、それが猫になった途端可愛くて仕方なくて、パートナーと私は老猫氏が家に来てから「意志がある〜!かわいい〜!」と毎日顔を蕩かせていた。
人間の生活に寄り添ってくれる老猫のペース
老齢になると猫は、寝ている時間や何をするでもなくじっとしている時間が多くなるが、やりたいことが多すぎる私たちにはそれも合っていた。作業をしていたり、本を読んだりしている間、なんとなくじっと同じ空間にいてくれる。たまに撫でると気持ちよさそうな顔をしたりお腹を出したりしてくれる。癒しとしか言うほかない。
たまたま老猫氏を迎えた頃がコロナ禍で、家で仕事をすることが多かったが、仕事にはほとんど支障がなかった。若猫たちが走り回ったり大喧嘩したりする中、老猫氏は基本的に静かに寝ていて、寂しくなると仕事中の膝に乗ってきてくれたりもする。

人間の生活に寄り添ってくれる老猫の生きるペースって、すごくいいなと思った。
病院通いの日々
ただ、もちろん老猫を飼うのはいいことばかりではない。
老猫氏は腎臓病と謎の胃腸炎、歯周病のトリプルコンボで、通院が欠かせなかった。長く間を開けられる時は3週開けていたが、調子が悪いと2日に1回は通院していた。動物病院が徒歩5分のところにあって本当によかった。
腎臓病と胃腸炎は特に大変だった。おしっこの量が多くて1日に5、6回トイレ掃除をしていたし、びちびちの下痢をしょっちゅうするので、トイレも老猫氏自身もたびたび丸洗いしないといけない。腎臓病が悪くなってくると、食事の工夫や点滴も必要だ。腎臓病にいいご飯って本当に値段が高い。それでも、高いご飯を体調や気分で食べないこともあって、ご飯にかける費用も大変だった。
私たちは、手をかければかけるほどその猫のことが可愛くなるタイプだったし、共働きである程度の収入があったので問題なかったが、覚悟なく老猫を保護してしまうときっと戸惑うと思う。老猫氏は大丈夫だったが、認知症のある猫ちゃんは、徘徊や夜鳴きもあるというし、だからといって世話をやめるわけにいかない。
幸せな老猫をもっと増やしたい
ただ、覚悟なく、ふいに病気を持った老猫を保護してしまった私たちでも、老猫のかわいさにやられて必死に世話をして、老猫の可愛さを知ったように、もっと老猫という選択肢も、猫をお迎えしたい人に知られていってほしいと思う。
以前ほかの記事でも書いたが、どうしても子猫以外の猫は、保護しても引き取られにくい。もらわれにくい猫は、どうしても外で最期まで生きてもらわなくてはならないことがある。保護団体さんにも、キャパというものがあるから、老猫1匹にかける労力を、若くてすぐにもらわれていく何匹もの子猫に充てる選択をするのは仕方がないことだと思う。
それでも私は、どうしても願ってしまう。老齢になって、外で生きていくにもしんどさが増す最後の数年くらいは、なんとか家の中でぬくぬくと過ごしてほしい。1匹でも多くの老猫が、あったかい場所で穏やかな晩年を過ごしてほしい。
例えば、人間も年齢が高くなればなるほど保護団体さんから猫をもらうのは難しくなる。猫は長いと20年以上生きるから、飼い主の方が早く亡くなってしまうような不幸なケースを減らすためだ。でも、それなら高齢の方と、数年しか一緒にいられないかもしれないけれど穏やかでゆっくりした老猫との相性はいいんじゃないかと思ったりもする。そういう方に、ぜひ老猫を迎える選択肢を考えてみてほしい。
私自身も、また老猫氏のような猫に出会ったら積極的に保護したいと思っている。可能なものかわからないけれど、いつか老猫を優先的に引き取るシェルターなんかもやれたら。本当にまだまだ先の夢だけれど、老猫氏と出会ってから、ずっとそんなことを考えている。
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